皆さまごきげんよう。
うなぎ丼です。
先日、【XOM】(エクソン・モービル)の銘柄分析を行いました。

銘柄分析では、これまで石油によって巨大な富を生み出し続けてきたエクソン・モービルの事業内容に触れるとともに、そのスケールの大きさに驚嘆しました。
【XOM】銘柄分析の記事ではオイルメジャーの事業内容について理解できるかもしれませんが、そもそも皆さまは「石油」という物質がどういったものなのかご存じでしょうか。
恐らく、「地中から採れるヘドロ状の油」「中東でよく採れる物質」など知識として知っている方が多いのではないかと思います。しかし、「石油」にはあまり知られていない歴史と特異な性質があります。
そこで本記事では、エネルギーセクターに投資を検討している方なら教養として是非とも知っておきたい石油の歴史について紹介していきたいと思います。
石油の歴史
石油を発見するまで
木材
かつて燃料として使われていたのは木材でした。

木材は手に入りやすい燃料であるため、初期から人類の文明を支えてきました。
しかし、エネルギーを得るために木材を燃やせば、何かしら害が生じてしまうのがこの世の性です。
木材の伐採によって自然が破壊され、水不足と農地の荒廃による文明の衰退が起こっていました。
・三千年前の古代ギリシア
・中米マヤ文明
・イースター島
上記の文明が衰退したのも森林伐採が原因であったとみられています。
石炭
木材に頼らない燃料として次に用いられてきたのは石炭でした。

石炭は木材に比べ燃焼効率が良く、優秀な燃料です。
しかし石炭は、含まれる硫黄成分が燃焼すると硫酸と化し、人体に影響を与え、不完全燃焼の際に生じる煙によって大気汚染の原因になりました。
コークス
そこで、産業革命時にはコークスという燃料が用いられるようになりました。
コークスは石炭を蒸し焼きにして得られる燃料です。
空気を断って強熱することで硫黄が抜けていき、炭素の純度が高まり、高温での燃焼・有害物質の減少が期待されていました。
しかし、石炭に比べ利便性が向上したにも関わらず、産業革命時あまりにも大量に用いられたことが原因で、イギリスでは深刻な公害問題が生じました。
このように燃料からエネルギーを得るためには環境・人体など何らかの犠牲とトレードオフでした。そこで、新しい燃料に代わるものが待ち望まれていました。
石油の登場
石油を最初に掘り当てたのはエドウィン・ドレークという人物です。
彼は当時、鉄道会社の社員をしていて、それ以前には職を転々としていました。
岩から染み出る油に興味を持った出資者に声をかけられ、彼はこの”油”の掘削を開始することになります。
やがてついに、2年の歳月をかけて期限ギリギリのところで「石油」を掘り当てました。
その後、「石油」はあっという間に世界で大騒ぎとなり、
当時はクリーンで人・地球に優しい燃料であり、環境問題の救世主として登場しました。
石油帝国の出現
石油という新しいエネルギー源に飛びついた多くのうちの1人にジョン・ロックフェラーという人物がいました。
彼はスタンダード石油を立ち上げると、同業者を排除し、併合して、みるみるうちに巨大財閥を作り上げます。
そしてついにはスタンダード石油はアメリカの石油精製能力の9割を占めるようになりました。
しかし、巨大すぎた石油企業に米国は独占禁止法を適用します。
スタンダード石油は34の小企業に分割されました。
その後、それらの企業群は現在のエクソン・モービル、BP、シェブロン、ロイヤル・ダッチ・シェルなどに再編され、現在も石油業界に君臨し続けています。
石油と戦争
第一次世界大戦
イギリス軍が砲台を搭載して、石油で走る戦車を開発しました。
戦車はカンブレーの戦いにおいて大きな成果をあげ、これ以降世界中で戦車が開発されるようになりました。
戦車だけではなく、戦艦・潜水艦の動力にも石油が用いられるようになり、第一次世界大戦後は各国で軍の整備に力を入れ、もはや石油なしに軍を成立させるのは不可能だと言わんばかりの時代になりました。
第二次世界大戦
第二次世界大戦はいわゆる「石油争奪戦」を現わしていました。
・石油全面禁輸による日米開戦
・ドイツのフランス・ソ連への侵攻
これらが起こったのも、日本・ドイツ・イタリアなど「石油を持たざる国」と「石油を持つ国」の決戦だったことが伺えます。
結局、最後まで石油を確保できずに日本は戦争に破れます。
現在
中東の油田が世界最大の産油地帯となっています。
全世界の石油埋蔵量の半分以上が中東に集結しており、凄まじい富をもたらしています。
しかし、中東各国では紛争や戦乱がたびたび起こり、決して産油国が権益を獲得できるとは言えない状況になっています。
いつの時代も戦争・紛争など争いが起きる理由は、人間の私利私欲によるものが発端だと痛感します。
石油とは一体何か
では一体石油とはどういう物質なのか。
石油は様々な化学組成をもった「炭化水素」の総称です。
それゆえ、加熱し気化すれば沸点の差によってガソリン・灯油・軽油・重油・アスファルトなどを分留することができ、様々な用途に合わせて活用されます。

では石油はどうやって精製されるのか。
実は、その物質がどうやって精製されるのか、いまだに謎の物質です。
・植物などの死骸が地下深くで地熱と圧力によって原油に変化したという説
・地球という惑星ができる際に閉じ込められた炭化水素が変形して原油になったという説
このように様々な説が飛び交っているのですが、現在明らかになってはいません。
謎の多き物質「石油」ですが、自動車のガソリンとして遠くへ安価で運んでくれる・ペットボトル詰めのミネラルウォーターが飲めるなど、我々はこれまで様々な恩恵を授かってきました。
投資家としては、このような歴史・変遷を辿ってきて、我々の生活だけではなく株主にも莫大な富をもたらしてきた「石油銘柄」が高配当を維持する限り、積極的に購入を考えたいところです。
以上、石油の歴史についてまとめてみました。
ご参考になりますと幸いです。
Where there is a will, there is a way.
参考文献:「炭素文明論」佐藤健太郎 新潮社