本記事では、世界最大のタバコ会社であり依然として高配当を維持し続ける【PM】フィリップモリスの銘柄分析を行います。
たばこ会社はそれが持つブランドの市場独占性、たばこの依存性ゆえに高収益が期待されます。
【PM】はうなぎ丼のポートフォリオの一角を担っており、現在2株所有しております。
世間から喫煙者への冷たい視線・分煙対策などタバコに対する逆風が懸念される一方で、たばこ会社の持つ圧倒的ブランド力・競争優位性から生じる高収益が非常に魅力的な銘柄となっております。
たばこ会社はこぞって高配当ですので、投資家の財布を潤してくれると信じてやまないです。
【PM】フィリップモリスの銘柄分析
基本データ
会社名 | フィリップモリス(Philip Morris) |
---|---|
ティッカー | PM |
創業 | 1987年 |
本社所在地 | アメリカ・ニューヨーク州 |
上場市場 | NYSE(ニューヨーク証券取引所) |
従業員数 | 77,400人 |
セクター | 生活必需品 |
株価 | $86.11 |
1株配当 | $4.68 |
配当利回り | 5.45% |
連続増配年数 | 11年 |
決算期 | 12月末 |
(2019/12/26時点)
事業内容
タバコの製造・販売を手掛ける世界最大のたばこ会社です。
マーケットシェア
たばこの国際マーケット(米国・中国を除く)シェアは以下の通り。

(Philip Morris公式HPより引用)
フィリップモリスが28.3%とトップシェアを獲得していることがわかります。
マルボロ、ラーク、近年ではIQOSなど、よく耳にするブランドが我々の身近にあることからも納得できるかと思います。
米国では2008年に【PM】と分離した【MO】アルトリア・グループが管理し、中国では国営のたばこ会社中国タバコ(CNTC)が独占している。
地域別売上比率
地域別の売上比率を見てみましょう。

【PM】のタバコは世界中で嗜まれていることがわかります。
やはり、ニコチンの圧倒的な依存性は全人類共通といえます。
セグメント別売上比率
セグメント別売上比率は以下の通り。

近年、紙巻きたばこのような可燃性たばこだけではなく、加熱式たばこや電子たばこなどのリスク低減製品が消費市場に多くみられます。
それらは喫煙に伴う健康リスクを抑える効果があるとされていますが、果たして実態はどうなのでしょうか。
リスク低減製品の動向でいうと、【PM】のIQOSは日本では少し弱いのではないかという印象です。
私の周りでは圧倒的に【BTI】(ブリティッシュ・アメリカン・タバコ)の製品であるgloが流行っているからです。
世界の製造施設
世界の製造施設です。

世界には実に44もの生産工場があります。
【PM】の業績推移
【PM】の売上高・営業利益・営業利益率・純利益を見ていきましょう。

営業利益率はほぼ40%という高水準で横ばいであることがわかります。
PL(損益計算書)だけを見ると全く問題なし。
また近年、たばこ税の増税ゆえにたばこ価格が値上がりの一途を辿っていますが、売り上げも落ち込むことなく、利益率も維持し続けることができています。
これはたばこビジネスが尋常じゃなく儲かることを意味しています。
ちなみに日本のたばこ税率は63%でした。(JT公式HPより)
【PM】自己資本比率
下図は過去10年の自己資本比率推移となります。

自己資本比率は2011年以降マイナスに転じています。
この原因は後に述べます、自社株買いゆえの債務超過が原因と考えられます。
【PM】発行済み株式数推移
下図青は4半期ごとの発行済み株式数推移で、赤は前年比です。

2009年以降、発行済み株式数が減少傾向にあることが見られます。
これはフィリップ・モリスが自社株買いを行っていった結果を示しています。
自社株買いを行うと、BSの純資産の部が減り、負債に圧迫されて債務超過となります。
債務超過といっても【PM】のような潤沢なキャッシュフローがあれば問題なく、むしろ発行済み株式が減少して株価が上昇するという点において株主に利益を還元していると捉えるのが妥当かと思います。
実際に株価を見てみますと2008年の上場以来、上昇傾向。

このように帳簿上では自己資本比率がマイナスですが、自社株買いを行い株主に還元しているという事実から定性的に判断することも大切です。
【PM】キャッシュフロー
下図は過去10年のキャッシュフロー推移になります。

投資CFは営業CFに比べて少なめです。
ここでは、たばこビジネスは設備投資がほとんどかからないことを表しています。
にもかかわらず、新しく投資をしなくても儲かる事業なのですから、たばこを買うくらいならたばこ株を買うべきだと思います。
【PM】1株当たり利益(EPS)
過去10年のEPS推移です。

10年で見ると上昇傾向。
過去10年のEPS成長率は4.6%です。
EPS成長率は問題なく思います。これからの決算に注目していきたいところです。
【PM】配当金と配当性向
過去10年間の1株当たりの配当金と配当性向の傾向をまとめました。

11年連続増配ですので、配当金に関しては言わずもがな、毎年毎年の増配が確認できます。
配当性向ですが、ここ2・3年100%近くを推移しています。
これは増配傾向から、1株当たりの利益(EPS)よりも1株当たりの配当金の方が大きくなってしまっていることを示しているのですが、配当金が財務を圧迫していないか不安要素となりえます。
したがって私としては、連続増配がストップしてしまうなら売りを検討します。
【PM】vs S&P500 トータルリターン
分社化した2008年からの【PM】とS&P500の配当再投資込みトータルリターン比較です。
やはり、高利回りの配当金・潤沢なキャッシュフローが株価などリターンに反映されて、S&P500を上回るほどの成績となっております。
単純に【PM】だけを買って再投資することでS&P500を凌駕できるのですから、これからも積み立てていきたいところです。
直近のPER
直近のPERになります。
PER | 17.95 |
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(2019/12/26時点)
PERの値を見るとまあ妥当かなと考えます。
※PBRに関しては株主資本がマイナスですので値として存在しません。
所感
フィリップモリス【PM】は世界最大のたばこ会社ですので、やはりグローバルに事業展開していることが伺えます。
業績・株価・キャッシュフロー・配当利回りを見てきましたが、かなり儲かる会社であるという印象を抱きました。
そして何と言っても、S&P500を上回るリターンを実現できる高配当銘柄は【PM】でこそ成し遂げられると思います。
世界中で嗜まれているたばこ、熱狂的なファンをもつ圧倒的ブランド力で高収益を叩き出す企業【PM】にこそ投資をしていきたいと感じました。
まとめ
以上、フィリップモリス【PM】の事業内容や業績をまとめて銘柄分析をしてみました。
引き続き銘柄を紹介していけたらなと思います。
ご参考になりますと幸いです。
Where there is a will, there is a way.