本記事では世界的電気・化学素材メーカー3M(スリーエム)の銘柄分析を行います。
【MMM】の銘柄分析
基礎データ
会社名 | 3M(スリーエム) |
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ティッカー | MMM |
創業 | 1902年 |
本社所在地 | アメリカ・ミネソタ州 |
上場市場 | NYSE(ニューヨーク証券取引所) |
従業員数 | 93,516人 |
セクター | 資本財 |
株価 | $136.05 |
1株配当 | $5.88 |
配当利回り | 4.4% |
連続増配年数 | 61年 |
決算期 | 12月末 |
(2020/03/19時点)
事業内容
化学・電気素材を主に製造しています。工場や製造現場で使われるものが多いため、BtoBとなっています。
3Mの事業部門は以下の4つに分かれます。
・セーフティ、製造関連
・交通関連、エレクトロニクス
・ヘルスケア
・消費者向け製品
セーフティ、製造関連
ムンバイの水の浄化やロンドンの道路の修繕、戦地での救命など、人々の安全を守っています。さらに接着テープや研磨剤など、製造・組み立て・加工の現場作業で活躍する製品を作っています。
交通関連、エレクトロニクス
自動車ボディの塗装プロセスや、道路標識用反射シートの交通関連製品、半導体を用いたエレクトロニクス製品で構成されています。
ヘルスケア
聴診器・口腔内スキャナーなど様々な製品で医療業界に貢献しています。食品衛生関連製品もこの事業部門に属しており、微生物検査を行える製品も開発しています。
消費者向け製品
スコッチブライトなどの家庭用クリーニング製品、ポストイットのようなオフィス製品を製造しています。
事業別売上比率
以上4つの事業部門の売上比率を見ていきましょう。

セーフティ、製造関連、交通関連、エレクトロニクスの2部門が売り上げの6割以上を担っています。このように3Mは工場で使用される製品の売上が大半なので、景気の動向に左右される銘柄です。
米中貿易戦争、昨今のコロナショックなどで経済の停滞がやむを得ない状況ですので、投資をする際は慎重に判断していきたいところ。
地域別売上比率
以下は3Mの地域別売上比率になります。

アメリカ以外の売上が6割を占めています。グローバル企業として様々な製品を世界に提供していることが伺えます。
事業内容全体を通して、日系企業でいう日東電工のような印象を抱きました。
日東電工も接着テープなど工場で使われるBtoB製品を開発しています。
もちろん規模は3Mの方が圧倒的に大きいです。
【MMM】の業績推移
【MMM】の売上高・営業利益・純利益・営業利益率を見ていきましょう。

売上高・営業利益・純利益どれをみても、ほぼ横ばいという印象。
景気の動向に左右されることを考慮すれば、安定しているとも捉えられます。
営業利益率は20%以上と高水準ですが、2019年に20%を下回ってしまいました。今後、営業利益率が元の水準に戻るかが鍵となっています。
【MMM】株主資本比率
以下は【MMM】の株主資本比率の推移です。

50%を維持していた株主資本が減少傾向にあります。これは債務超過に陥ったわけではなく、自社株買いによる株主還元が考えられます。
【MMM】キャッシュフロー
下図は過去10年のキャッシュフロー推移になります。

営業CF・投資CF・フリーCFは、良くも悪くも横ばいです。
【MMM】1株当たり利益(EPS)
過去10年のEPS推移です。

EPSは増加傾向であり、投資家にとっては買いの材料となります。
【MMM】ROE推移
EPSとBPSの推移を踏まえ、過去10年のROE推移を見てみましょう。

ROEは増加傾向にあります。2010年の時点で30%付近だったのが、2019年には50%近くという高水準になっています。
ROEからは健全な財務状況と判断できます。
【MMM】配当金と配当性向
過去の1株当たりの配当金と配当性向の傾向をまとめました。

連続増配61年ということもあり、配当金は綺麗な右肩上がりのグラフを描いています。
配当金に伴い、配当性向も70%に増加しています。
70%の配当性向は、やはり株主還元に積極的な企業と言えます。
【MMM】配当利回り推移
以下グラフは【MMM】の配当利回り推移を10年に渡って表したものです。

2019年までは2~3%の間を行き来していましたが、2020年には3%を超えています。
また、最近の株価下落から配当利回りは4.5%という水準にまで達しました。
【MMM】vs S&P500 トータルリターン
【MMM】とS&P500の配当再投資込みトータルリターン比較です。
まず5年のトータルリターンを見てみましょう。

5年のパフォーマンスでいうと、S&P500に軍配が上がります。
しかし、どちらもコロナショックによる影響で直近の株価は大きく下落しています。
そこで、リーマンショックが起こる前の2008年以降のトータルリターンを比較してみました。
2008年以降のトータルリターン

S&P500に比べ【MMM】は大きくリターンが得られています。
株価が低迷している間も、【MMM】は増配を行っていたため、雪だるま式にリターンが増えました。
コロナショックによる株価下落を悲観するのではなく、データを基にした客観的な視点を持って購入するのがよいと思います。
直近のPER・PBR
以下表は直近のPER・PBRになります。
PER | 17.21 |
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PBR | 7.69 |
(2020/03/19時点)
同業他社である【AVY】エイブリィデニソンはPERが29倍、PBRが7.3倍です。比較しても、少し割高かという印象を受けます。
所感
【MMM】スリーエムは、事業内容から様々なBtoB製品を製造・販売していることがわかりました。
売上・営業利益などPL全般からは、成長する兆しが見えませんでしたが、景気に左右されやすいセクターの割に安定しています。
安定した利益+連続増配で株主に大きくリターンが得られると思います。
昨今の株価下落を考慮すれば、今こそ積み立てて買う時ではないでしょうか。
まとめ
以上、【MMM】3Mの事業内容や業績をまとめて銘柄分析を行ってみました。
引き続き銘柄を紹介していけたらなと思います。
ご参考になりますと幸いです。
Where there is a will, there is a way.